すっかり巷に浸透した「IoT」というキーワードですが、あらためて、ネインが現在取り組んでいるウェアラブルも含め、センサー、人工知能などのテクノロジーが社会をどう変えていくかについて考えてみたいと思います。
photo credit: Arduino Day 2014 @MUSE Trento by MUSE FabLab via photopin (license)
あなたにとっていいことを徹底的に教えてくれる
上記に挙げたテクノロジーによって社会がどう変わるか?
ひとことでいうと、あなたにとってメリットのある行動を「徹底的に」教えてくれる社会になるでしょう。現時点では、Google Now、AppleのSiriなどの「パーソナルアシスタント」が有名ですが、さらにその先を想像してみます。
具体的な例
- 目標達成アシスタント。あなたの周囲の人も協力者として自動で巻き込んで目標達成に対しての行動を促してくれる
- 行動指針アドバイザー。身の回りの状態、人間関係、住んでいる場所、社会状況などから判断して、自分が何をするのがベストか教えてくれる
- 購買アシスタント。欲しいものがあるが消費欲を満たしたいだけで買う必要がない場合、「買うべきではない」とハッキリ教えてくれる
- 貢献レコメンド。時間が余っていてやることがないとき、誰の役に立てるか、具体的な行動を教えてくれる
企業の評価基準が変わる
サービスを提供する企業にとって、「売上」「利益」も当然大事ですが、「ユーザーと社会に幸福をもたらすためのテクノロジーを活用しているか」というのが企業の評価基準として使われてくるでしょう。
センサーによりすべての行動が取得される
ユーザーに何かをレコメンドするには、その分析の元となる情報が必要です。ブラウザのCookieを使ったWebでの行動履歴、アプリの利用ログ、SNSのグラフ情報などに加え、今後はウェアラブルデバイスからの行動履歴、位置情報、身体情報、気温、光などが分析対象データとなってきます。
仕事柄注目しているせいもありますが、ここ数年で本当に多種多様なセンサー情報を目にするようになりました。
[参考] センサー デバイス – Google 検索http://goo.gl/vUSOS9
次々と世に生み出されているこれらのセンサーデバイスが人々の行動を収集し「ビッグデータ」というキーワードにつながっていくわけです。(今さら感はありますが)
Appleは身体情報の取得にも積極的に取り組み始めていますね。
[参考] Apple – iOS 8 – ヘルスケア https://www.apple.com/jp/ios/whats-new/health/
最初は限られた範囲になると思いますが、将来的にはこんなレコメンドを受け取れるようになるかもしれません。
- 「今日はコレステロール値が平常時より高い。野菜を100g食べなさい」
- 「筋肉量が落ちているので、隣を歩いているおばあさんの荷物を信号まで持ってあげなさい。(通勤途中)」
- 「会社での仕事が体にかなり負担を与えています。3日間の休養を取りなさい。」
などなど。
ゆくゆくは、脳内の分子レベルで物質の動きをセンサーで捉えられるようになり、さらに詳細な健康状態や思考を分析した上でのレコメンドが生まれることになるでしょう。
[参考] 神経伝達物質と性格 – NAVER まとめ – http://matome.naver.jp/odai/2139856780475505301
人々の利用するインタフェースが変化する
ユーザーがレコメンドを受け取る方法ですが、今後はウェアラブルデバイスがじわじわと活用されるようになるでしょう。 現在ほとんどの人が所有しているスマホは情報の視認性に優れたデバイスですが、シンプルな情報を受け取るにはオーバースペック気味な感があります。
シンプルな情報を受け取ったりコミュニケーションを行う際、シンボル・振動を利用した意思疎通ができるスマートウォッチを使えば、多くの時間浪費を抑えることができます。
スマートウォッチ向けメッセンジャーアプリを作っている我々がいうのもなんですが、体に装着するウェアラブルデバイス自体も将来的には不要になる可能性があります。人の体内に何らかのデバイスを埋め込み、それを通して感情や思考に関する情報が脳に通知されて届けられればよいわけですから。
映像が必要とされる場面では、プロジェクションマッピングの技術が手のひらサイズや、コンタクトレンズの大きさで実現されていくでしょう。
『グーグルの「カメラ内蔵コンタクトレンズ」が可能にするもの « WIRED.jp』http://wired.jp/2014/04/16/google-contact-lenses-cameras/
これに加えて、モーションジェスチャーがさらに進化して組み合わさると、スマホの実体そのものが不要になってもおかしくありません。
Nainが取り組んでいくこと
今月、世に登場するApple Watchがみなさんの生活に浸透してきた段階で、ようやく上記で述べた社会の変化が始まると考えています。
Nainでも、「人々の行動を最適化するための基盤をつくる」ことを目指し、社会を変える取り組みを行っていきます。 現在は、ウェアラブルメッセンジャーアプリ(Nain Wearable Messanger)の構築に注力していますが、同時にこれまで挙げた変化を実現させるための技術的な準備も始めています。詳細なテクノロジーはここでは述べられませんが、それらは今後、Nain Wearable Messangerのバックエンドに反映させていくことになります。
また、IoT時代においては、個人が情報を提供することにより、あらゆるサービスの恩恵を受ける流れが強まると思われます。そうなると、顧客の膨大な情報を扱う企業は、透明性のある誠実な取り組みが求められるようになります。Googleなどの取り組みはNainでも参考にしていきたいところですね。
[参考]『透明性レポート – Google』
http://www.google.com/transparencyreport/?hl=ja
私自身、Chief Customer Officerとして、何よりも顧客の幸福を念頭においてNainを運営していくことが必須となるでしょう。